今年は歴史小説を読む機会が増えています。下記の本は歴史小説といっても武士は出てこない、職人の話です。
緋色の空
(池永 陽)
(講談社)
梁の娘「おきぬ」と恋仲であり、棟梁も認めて後を継がすつもりであったが、火事で左手が使えないため、かなわず、大工の家を出る。毎日、酒びたりで自我を忘れていたところ香具師の親方に助けられ、香具師として生きて行く。ここでも、香具師親方の気が強いが優しい娘「おえい」に恋心を抱かされる。もう一人、幼馴染の「おとし」にも心を寄せられる清吉でした。3人の女性に愛されながら、また、悩みながら生きて行く清吉の話。最後は誰を選ぶのでしょうか?
二転三転する物語である。
恩人香具師親方の庭場を狙われることに絡む跡目相続の問題にかかわることになる清吉。
香具師(やし、こうぐし、かうぐし)とは、
祭礼や縁日における参道や境内や門前町、もしくは市が立つ所などで、露天で出店や、街頭で見世物などの芸を披露する商売人をいう。今でいう「テキヤ(的屋)」である。
古くは、香具師(こうぐし)とも読み、主に江戸時代では歯の民間治療をしていた辻医者(つじいしゃ)や、軽業・曲芸・曲独楽などの太神楽をして客寄せをし、薬や香具を作ったり、売買していた露天の商売人を指した。名調子で口上を述べるガマの油売りが代表的なものである。