久しぶりの昼間の雨なので
お勧めの一冊です。
今年、(2011年)直木賞受賞の「漂砂のうたう」です。
作家 木内 昇 という名から男性かと思ったが
女性作家でした。
最近、男性より女性作家の方が元気があると思いませんか?
服部真澄という作家も女性作家で
世界の出来事をテーマにした国際舞台の本を書いています。
香港返還の裏を書いた「龍の契り」
アメリカの銃廃絶を描いた「KATANA」等。
木内 昇は日本の歴史小説が得意のようです。
漂砂のうたう
(木内 昇)
(集英社)
幕府が無くなり明治10年の遊郭に住む男女の物語です。 遊郭は明治になり廃止されますが貸座敷として復活します。時代が変わっても残る世界ですね。今は風俗という名で残っています。遊郭の花魁は品の高い特別の人で、そこに通う男は旦那衆という一端の男性でしたが、今は自由・平等の名とともに庶民化し誰でも通える場所となったようです。 一目置かれる地位から卑下される場所になってしまった気がしますが。 小説は漢字が少し多いのと現在は使われない単語が出て来ますので少しとっつきにくいですが慣れてくると面白いです。 根津神社の前の通りが遊郭だったのです(知らなかった)。この場所を定九郎は「谷底に住む」と言っています。根津遊郭のマップは次ページ参照。 根津の地名の由来は遊郭の「不寝(ねずり)」から来ているようです。 知らない世界へ紛れ込んだようでようで面白いです。 「学問のススメ」が読まれ、大学だ出来、誰でも入れるようになり、自由・平等という言葉が出だした時で、この頃の人はまだ理解できない時代でした。言葉だけが歩いていたことをしっかり描いています。遊郭の世界だけでなく西南戦争など時代の背景を随所と入れているのがすばらしいです。 遊郭の話ですが艶っぽい話は殆んど出て来ません。定九郎のやるせない気持ちが良く描かれています。 定九郎、小野菊花魁、ポン太がキーマンです。ポン太がつぶやくひと言、ふた言が後半になり絡んできて推理小説のように説かれ、展開されて私の心をつかみました。 題名の「漂砂のうたう」 の意味は本を読み進むにつれ分かってきます。 花魁(おいらん)にまつわる話も聞けます。この世界は大変なようです。
漂砂のうたうMAPまでできています。
下記URLで拡大したMAPが見れます。
MAPを見ながら本を読むとおもしろいです。
http://renzaburo.jp/hyousa/